2010/02/27

隣の友は真の友

日本経済が従来のままでよいと考えている者はまずいません。その意味では、誰もが「改革論者」なのです。90年代の「改革論」から学べるのは、旧来のシステムを打破するという「改革」そのものが経済を混乱に陥れ、結果として経済をさらに悪化させたという点です。倒産、リストラによる失業、不確定性、リスクの増大といった「改革」の産物そのものがマクロ経済の急速な悪化を招き、デフレ圧力を生み出しました。ケインズは、将来の期待や予測の混乱と不確定性の増大が、経済を停滞させる最大の原因だと述べました。90年代後半の改革は、最悪のアプローチにより国家を支えていたシステムを破壊したのです。

サブプライムローン問題が発生する以前から、日本社会は、各層、各組織相互の信頼が失われつつあり、今回の経済危機でさらに鮮明に表面化しました。与党と野党、与党内の各グループ、官僚と政治家、経営と労働、正規社員と非正規社員、富裕層と中間層と貧困層、自治体と中央政府、老年層と若年層、そして国民と国家等々です。さまざまな利害の対立は顕在化した不信の連鎖を生み出しました。それは国民の間に「将来不安」が広がっているからに他なりません。不安は、少子高齢化に伴う制度の遅れの不安、デフレによる不安、システムの転換による不安の三つに大別できます。こうした不安を取り除くのが政府・政治家の仕事ですが、例によって場当たり的に対応しています。

今後世界がどう変化しようとグローバルな構造は変わることはありません。日本は猛烈な勢いで衰退しています。輸出主導の製造業を中心とした国家経済モデルが崩壊するかもしれないのです。コモディティ化が進んでる分野では、コスト競争力の強い国が勝者となります。インドや中国にどんどん仕事がアウトソースされているのです。

今日よりも明日、明日よりも一年後、さらに五年後のほうが、自分の人生はより良いものになっているはずだという思いが希望です。経済的豊かさを実現した成熟社会は、将来的に必ず人生はより良いものになるという思いを持つのが難しい社会です。増幅された不信の連鎖を止めるのは極めて難題なのです。今必要なのは、今回の危機は循環的なものではなく、歴史的な大転換期かもしれないという仮説に立ったシミュレーションと希望を持ちうる将来的ビジョンです。

経済活動を根本で支えるのは信頼であり、将来不安が国民の国家への信頼を失わせ、政治への無関心が常態化しました。不信と無関心の未来は社会不安と暴動です。隣の不幸は蜜の味と考える日本人がこれから増大していきます。性善説から性悪説を前提とした社会システムへの緩やかな移行です。このような社会で戦っていくには、隣の友は真の友と呼べる関係の構築が必要です。関係の構築には積極的な相互理解と相互信頼形成が必要です。大切なことは、「誰かに変えてもらうのを期待する」のではなく、「自ら変わる」覚悟です。希望のないところに未来は無く、行動しない人々に明るい未来は掴めません。毎月開催される「イベント」(詳細は秋月便り参照)に参加することで、真の友を見つけるチャンスは飛躍的に増加するでしょう。

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