2010/03/06

新世界社会秩序に向けて

参考:Prognosis 2012: Towards a New World Social Order

地球上の資源は有限です。したがって、成長に限界があることは必然です。二十世紀は多様な思想と制度を生み出し、技術的進歩を成し遂げました。目指したのは工業型社会ですが、私達が限界に向かう時間を加速させました。工業型社会とは、規格大量生産によって需要を超える物材を供給する、生産を中心とした量産システムです。物材の供給量を増加させる為に、生産をより効率化し、市場を拡大していくのが目的です。産業革命以来、技術的進歩の主流は大型化、大量化、高速化であり、世の中の発展の象徴でした。しかし、ある時点で必ず成長の限界点に達します。

世界は、1970年代にその限界点に達しました。資源多消費型による、工業型社会は規範的崩壊により新しい経済システムへ転換していくのです。1971年の金ドル交換停止と変動為替性の採用により、世界経済の基本が変わりました。人類は史上はじめて、物質的な裏付けの無い完全なペーパーマネーを持つようになりました。アメリカが、基軸通貨発券国として、ペーパーマネー社会の特権を利用していくのは80年代に入ってからです。また、73年と79年の石油危機は、物価体系を根本的に変革しました。従来の工業品有利の物価体系が資源農産物急騰により崩壊し、この修正のためにスタグフレーションが起こりました。

70年代以降の新しい経済システムは、生産を拡大して成長を求めるのではなく、比較的管理された生産によって最適工業社会を目指し、より大きなリターンを得ることが出来る経済システムです。技術開発の主流は、多様化、情報化、省資源化へと移行します。経済システムは、グローバル化、民営化、通貨市場と金融商品によって、成長していくことが可能になりました。グローバル化とは、将来、より大きな利益を提供することが可能な、低成長地域への投資拡大です。民営化とは、国家が投資した公益事業の民間への移転です。公益事業は、あればみんなが助かりますが、公共事業は、なければみんなが困ります。故に、公共事業は不採算事業であり、国家が投資しなければならないのです。通貨市場と金融商品は、現実世界では何も生産もせず、金利により経済成長拡大の幻想を引き起こしました。

70年代までの資本主義は、急速な成長により有効に機能しました。70年代以降は、グローバル化、民営化、通貨市場と金融商品で資本主義は延命されました。そして現在、計画された崩壊が起こり、国家は膨大な国債によって縛られることになりました。国家の支払能力が毀損し、グローバルな金融システムが系統的に解体されていくと、通貨価値が毀損していきます。どんな種類の回復戦略も大失敗の可能性が高く、そのような環境では、成長の必要性によって動かされる経済体制ではなく、社会主義的なコントロールされた経済体制に移行していかざるを得ません。私達は、経済情勢における政府の介入で、既に経済モデルが移行されつつあるのを確認することができます。非成長経済において、生産のメカニズムは劇的に変化します。非成長の経済学は資本主義的な経済学と根本的に異なるのです。

資本主義は、成長によって動かされる経済体制です。資本家のビジネスとは、利益の管理であり、その管理は銀行と仲介会社との間でなされます。投資銀行や証券引受業者が階層構造の最上部を占有しているのは、驚くべきことではありません。そして、事実、ロスチャイルド一族とロックフェラー一族を含む、一握りの銀行家の一族がいます。(これらの一族は、世界の経済、政治を支配するようになりました。秋月便りにて真実のロスチャイルドを連載中)これらの資本家は、資本主義が拡大している間に世界をコントロールする権力を獲得しました。彼らは、資本主義的なシステムは成長の限界点に達するという事実をよく知っています。成長の限界でなされる異なったシステムへの転換は、彼らの権力を今後も維持していくために必要なのです。彼らは、通貨が何であるかを定義することができ、新しい種類の通貨による経済ルールを作ることができます。それが何に変わっていくのかを私達は理解する必要があるのです。

成長の時代には、経済の生産側に主導権がありました。成長経済では、利益は賞品であり、市場と販売チャネルを支配するルールを確立した者が勝利者となりました。ルールは成長の手段を制御することを目的としており、成長のエネルギーは資本需要でした。非成長時代には、経済の消費側に主導権が移ります。非成長経済では、供給および分配のためのルートを安全に確保することができた者が勝利者となります。ルールは生活必需品を制御することが目的とされます。安全なソースのもとで、直接分配を割り当てるのは、非成長経済を管理していく必須の条件です。既に、食物とエネルギーの制御が始まっています。また、このシステムは他の重要な希少鉱物などの資源にも適用されます。人口の増加は生活必需品の要求圧力を増加させるが故に供給の制御が必要になるのです。

地球温暖化とピークオイルのプロパガンダは成功し、世界の環境保護運動は高まりました。現在、農業が食糧生産からバイオ燃料としてエネルギーに変換されている現状は、食品価格がエネルギー価格にリンクされているということです。エネルギー供給チェーンでの崩壊は、食物サプライ・チェーンにおける崩壊となるのです。結果として飢餓の大規模な増加を引き起こします。

危機管理とは最悪を想定した複数の選択肢を持っておくことです。選択肢の発動は今後の経済システムの誘導です。故に崩壊は偶然でなく、制御崩壊となります。炭素収支、および二酸化炭素排出権は、経済の第一の構成要素になるように誘導されています。エネルギーを費やす資格があることで富が測定される社会です。消費、リソース、及び分配のコントロールの焦点は、グローバル資源の減少です。成長の限界が明確になった時、新しいパラダイムの転換が示されます。

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