2010/02/16

危機に考えるべきことは

サブプライムショックにより、世界各国はいかに自国が米経済に依存していたかを思い知らされ、金融工学が作り出すバーチャルな需要により、無限に金が創造されていたことを知りました。本質的にそこに内在する賭博的な要素が見過ごされていたのです。「規制」はすべからく緩和するのが正しいという結果がアメリカのサブプライム問題であり、わが国の派遣問題でした。

米国の旺盛な国内消費が、製造業を中心とした国の最大の輸出市場となり、世界経済をけん引してきたというのがグローバリゼーションの枠組みです。この構造が崩壊したことにより、各国経済は減速を余儀なくされ、財政支出の拡大で国内景気の立て直しに努力しています。いいかえれば、世界各国で輪転機を回し、国内景気の維持拡大に努めているのです。そのため、現金通貨発行残高は各国で増加しています。
マネタリズムに従えば、量的緩和により貨幣量が増加するので物価が上昇し消費が増加します。しかし、日本ではデフレが進行し、日本経済はどんどん地盤沈下しています。企業の収益が増えても企業の内部留保となり労働者に還元されず滞留しているのです。ゆえに消費が増えず、企業も供給拡大のための投資をしません。奈落の底を脱せず、あえて奈落の底に留まろうとする経済政策の結果です。懸命に汗をかき、まじめに働いている人が、幸せになれないような社会はいい社会とはとてもいえません。われわれは自分の身は自分で守るしかなく、国も企業も頼りにならないということを知らねばなりません。

量的緩和は、世界経済が正常化し均衡状態となった場合には景気の上昇をもたらします。しかし、不均衡状態では、次のいずれかの現象が発生します。
A  貨幣の滞留。
B 貨幣が商品市場に流れ込んだときには、インフレが発生。
C 貨幣が資産市場に流れ込んだときには、資産インフレが発生。
つまり、現金通貨発行残高が巨額なほど、BとCは破壊的な規模になるのです。

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