政党は組織であり、共同体です。民主主義の政治は、選挙にお金がかかりすぎます。しかしながら、ある程度お金をかけなければ良い政治ができないのも事実です。日本の政治には、政党交付金という助成金の分配システムがあります。政党に所属しないと選挙で戦えないのです。志のある政治家さえも政党や派閥に支配されており、政党が存在する限り、政治家は単なる頭数になり、個性を奪われてしまいます。今日の政治は、政党が政治家を縛り付け、政治家は政権奪取のため、志を無視した活動を行わざるを得ないのです。
東京地検は小沢幹事長と大手ゼネコン鹿島建設の癒着構造に迫っています。東北地方での談合は鹿島建設が仕切っていました。小沢の「金の成る木」といわれている地元岩手県の胆沢ダムは、共同企業体といいながら実質は鹿島が中心です。
2009年3月の東京地検の捜査では核心に迫りきれませんでした。
「小沢一郎 政治資金規正法違反疑惑」
この間題のキーパーソンは小沢の側近中の側近であった高橋嘉信氏です。小沢との決別の真相については「墓まで持っていく」と述べており、政治の闇なのです。
2010年1月13日、検察は陸山会、鹿島建設の東京本社、東北支社、元役員の自宅、鹿島建設の下請け各社への家宅捜査を実施しました。東京地検の強気は、世論調査の8割近くが「小沢幹事長は説明していない」と答えている現実です。現実と事実は異なりますが、検察庁は起訴に持ち込まなければ、小沢一郎に敗北したことになります。起訴されると小沢一郎は党籍を離脱することになります。地方議員が少なく地方に影響がない民主党は、小沢が陣頭指揮をとらないと参院選は選挙になりません。
重要なのは、政治資金規正法に違反した政治家がいたという疑惑だけではないのです。鳩山首相は「小沢幹事長どうぞ戦って下さい」と発言し批判を受けて訂正したのに、また「石川知裕容疑者について起訴されないことを望みたい」と発言しました。民主党議員達は、「石川知裕代議士の逮捕を考える会」、「捜査情報漏洩問題対策チーム」、「土地代金4億円不記載をめぐる論点整理勉強会」などを立ち上げ、検察への抗議活動を行っています。鳩山首相は、検察庁をふくめた行政のトップであり、民主党議員は与党の一員です。検察庁を批判することは、政権を批判することであり、政権を担っている自らの存在意義を自己否定することです。倫理の頽廃です。
倫理の頽廃は、頽廃の拡大再生産を引き起こします。組織の気質が頽廃してしまうと、何が正しいことなのか組織全体が判らなくなるのです。組織内では評価・賞賛されるかもしれませんが、合成の誤謬です。
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