2010/02/05

文化の系譜

検察特捜部は、独特の文化を持っています。2002年に発覚した辻元清美秘書給与流用事件では、辻元清美ら4名は2003年7月18日に逮捕され、2004年2月12日に有罪が確定しました。衆議院選挙で彼女が立候補の動きをみせたことにあると思われても仕方ありません。何故なら彼女とは逆に、立候補を見送った田中眞紀子氏は、不起訴処分となったからです。

2003年4月の統一地方選挙埼玉県議会議員選挙では、「死ぬまで知事をやり続ける」と言っていた土屋義彦・前埼玉県知事が、前日まで「辞めない」と開き直っていたのに、その翌日になって突如として辞任を表明しています。土屋の政治資金管理団体をめぐる問題で土屋の長女市川桃子が逮捕され、土屋氏に逮捕の情報が入ったため、あわてて辞任を決めたと思われます。このような話は数多く存在しています。

アメリカの「司法取引」とは「自白しなければ、刑は5年だが、自白すれば3年半ですむ」というようなものです。議員に対して日本で行われていることは、犯罪そのものを免除してしまうことであり、アメリカの「司法取引」とはまったく意味が違います。辞任すれば犯罪の事実が消えてしまうのは、おかしな話です。

また日本の警察は知事に極めて弱いという事実があります。なぜなら、県警本部は知事の下にあり、知事の裁量で警察の予算が決まるからです。そのため通常、知事を捜査・逮捕するのは検察の役目となっています。

旧大蔵省と検察の癒着も有名です。かって、東京高検検事長の退任が決まると、旧大蔵省から5ヶ所くらい顧問先を紹介してもらえた時代がありました。平成11年、公取委員長には  根來元東京高検検事長、証券取引等監視委員長には水原元名古屋高検検事長、預金保険機構理事長には松田最高検刑事部長、金融監督庁長官には日野前名古屋高検検事長など、天下り先は幅広かったのです。また、金融機関と検察庁幹部が定期的に会食していたことも取り沙汰されています。1998年の接待疑惑をきっかけに、旧大蔵省のスキャンダルが発覚し、旧大蔵省のうち金融部門が独立して金融庁が作られました。その金融監督庁長官には金融のまったく素人である日野前名古屋高検検事長が送り込まれています。

昭和32年の売春汚職事件は、売春防止法を巡り、都宮徳馬氏、福田篤泰、両自民党衆議院議員が、「赤線業者」の組織、全国性病予防自治会(全性)から賄賂を受け取ったと読売新聞が記事にして、両議員から名誉毀損で訴えられた事件です。結局、読売新聞社会部のスター記者、立松和博氏が名誉毀損容疑で逮捕されました。捜査を命じたのは、東京高検検事長岸本義広氏であるが、岸本氏は当時、法務省の事務次官、馬場義続氏と激しく対立していました。そこで、岸本氏は立松記者に情報を流し、馬場事務次官を失脚させようと画策したのです。結局、これは立松記者の誤報であることが明らかになりましたが、その30年後にこの事件の真相が明らかになりました。「ミスター検察」と呼ばれた伊藤栄樹元検事総長が、病死前に事実を告発したのです。読売新聞にリークされる情報が、どれもみな法務省に報告した事項ばかりであったことから、伊藤氏は「ガセネタ」を一つ、法務省に流してみた。すると直ちに読売新聞にこの記事が載った。調べてみると、法務省の「ある人物」が、読売新聞の立松記者に情報を流していることがわかった。その人物こそ、後に東京地検特捜部で「特捜の鬼」といわれた河合信太郎氏といわれています。当時、馬場事務次官の直系で刑事1課長だった河井氏は、岸本東京高検検事長を追い落とすために、読売新聞に情報を流していたということです。

小沢氏の問題では、検察情報を流している現職の検察幹部がいるといわれています。検察は国民を死刑にすることもできる絶対的な立場にあり、検察の公正さは国民の人権にもっとも影響を与えるといっても過言ではありません。その検察の内側に、こうした文化の系譜があると疑われるのは非常に残念なことです。

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