2009/12/15

クラウドコンピューティングが意味するもの

「Web2.0」というキーワードが流行語になったのは2006年のことです。そのブームは去ったかのように思われているが、実際の技術は現在も著しい進化を続けており、それが「クラウドコンピューティング」というコンセプトへと昇華してきました。

ひと昔前までは、パソコンを購入してもそれだけではただの箱で、ソフト無しでは使い物になりませんでした。ADSLや光ファイバーが一般家庭に普及しネットに常時接続されると、パソコンは個人のものから複数で使用するものへと利用方法が変化してきました。お互いのプライバシー配慮からパソコン内のディスクにはできるだけ自分のデータを置かない利用方法に変化してきたのです。

現在では、ネットに繋ぐだけでユーザーが必要としている機能の大半を利用できるようになっています。データを保存しておくスペースでさえも、自分のパソコン内ではなくて、オンラインサービス上に用意されていることが多いのです。電子メールソフトでいえば、個人ユーザーの7割以上が「Yahoo!メール」や「Gmail(グーグル)」などのオンラインサービスを使用しています。個人ユーザーはポータルサイトの無料サービスを利用することで、無意識のうちに先進的なデータ共有の方法を身につけました。

電子メールに限らず、本格的なビジネスソフトもオンラインサービスを使えば、ワープロ、表計算、プレゼンテーションの機能が無料で提供され、マイクロソフトのワード、エクセル、パワーポイントで作成したファイルを読み込んだり、編集することも可能です。ファイルはサーバー上に保存されるため、わざわざ同じパソコンを持ち歩かなくても、ネットが使える環境であれば、どこからでも自分のデータにアクセスすることが可能です。しかも、これらのオンラインソフトは新しい機能が随時追加されて進化しています。さらに使い勝手がよくなれば、高価なオフィスソフトをわざわざ購入する人は少なくなるでしょう。

今後はネットの高速化や安全性の向上で市場拡大がさらに加速するでしょう。ホームページの閲覧や電子メールの送受信ばかりでなく、各ユーザーのパソコンを動かすためのソフトやデータを保存するディスクも、オンラインサービスを利用することが主流になっていくでしょう。さらには、ポータルサイトのサーバーが持つ CPUやメモリーを各ユーザーが遠隔から仮想マシンとして利用できるサービスも実用化されています。これからのネットユーザーは、わざわざ高性能のパソコンを所有(購入)する必要さえありません。新興のネットベンチャー達は、次々と追加されるポータルサイトの新サービスに対抗するのではなく、彼らが張り巡らしている雲の下で、上手に立ち回ることに成功の鍵が隠されています。

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