2007年、中学受験をする小学生の保護者に「受験校選択で重視すること」を尋ねたところ「有名大学に合格する可能性が高い」と答えた割合は73.8%と1988年調査に比べ14.2%上昇。「世間の評価が高い」も79.3%と17.3%増え「進学」や「評価」を重視する傾向が高まっています。別の調査で受験する層としない層に分けて子供の将来に対する期待を聞いたところ「する層」は「仕事で能力を発揮する人」が42.4%。「しない層」より11.7%高い。一方で「友人を大切にする人」「他人に迷惑をかけない人」といった項目はしない層よりも5%ほど低い。
ベネッセ教育研究開発センター
不況もどこ吹く風の勢いで、中学受験熱は止まりません。中学受験対応の最大手塾、日能研の推計では今年首都圏で受験する小学生は約6万5千人で前年比約6%増え、過去最高となる見通しです。私立中学に通わせるとなると、年間費用はざっと百万円弱。「景気が厳しいからと受験校を絞る妥協はしないでください」と同社の保護者説明会で講師はクギを刺します。
不安時代を漂う親にとって有名中学は箱船のように見えるようです。将来が不安だからこそ早めに我が子にレールを敷こうとしているようです。しかし、中学入学=ゴールではありません。受験前に子供を慰めていた親が合格発表当日には早速大学進学塾を探し出します。今の親は『もっともっと』で際限がなく、中学受験の大半は親が仕向けています。子供が30歳を超えても過干渉の親はいくらでもいます。多くの子供達が、未来へのステップの途中で燃え尽きてしまうのです。
私立中の利点は知的関心の高い子供が集まることです。入学後に何をするかで面白い人間にもつまらない人間にもなります。会社でも「こいつは」と思う若者は高学歴とは限りません。
子供達がいかに優秀であったとしても、現在以上にワーキングプアが急増し、経済の一極集中が顕著になる中、箱船に乗れば将来が保障される可能性は極めて少ないといわざるを得ません。巷に氾濫する20代の失業者を見ればわかります。彼ら全員は力もなく、やる気もないのか。そうではありません。能力のある人もいれば、チャンスさえ与えればバリバリやれる人もいます。彼らが悪いのではありません。彼らは、今という時代が生み出したのです。
0 件のコメント:
コメントを投稿