2010年は未体験の激動とデフレとの闘いの年です。先進国のマイナス成長で実体経済の縮小が避けられず、金融機関や投資家の資産圧縮で資産市場の縮小も続きます。熱狂のうちに崩落の芽が潜むように、荒廃の中にも再起と希望の芽が潜んでいます。
市場原理主義と小さな政府のイデオロギーは富裕層がより豊かになれば、大衆にも恩恵が及ぶトリクルダウン理論を実行しました。抑止力を欠いたまま金融機関は利益至上の信用創造を続け、バブルがはじけたとたん世界は金融危機と同時不況の突入し、貧困層も住宅を持てるという夢の結末は、担保差し押さえと失業増です。
サブプライム問題は、強欲で結ばれた金融機関と投資家が引き起こした大惨事でした。投資家は一方的な被害者ではなく、金融機関との共生関係です。金融危機の震源が株式市場でなく信用市場だったのは、伝統的な株式投資に飽き足らない投資家が過大なり夕ーンを求めたからです。年金などの機関投資豪が実際にはあり得ない安全、有利な投資対象を求め、ヘッジファンドなどを通じて証券化商品や商品ファンドに投機資金を供給し、結果的に受益者でもある生活者の首を絞めました。その結果、各国政府、或いは世界経済全体を担保にしても「ヘッジ」しきれないほど、リスクは膨れ上がっています。強欲の戒め、足るを知る大切さの教訓です。
投資銀行に代表される金融機関の問題は、毒まんじゅうの証券化商品を製造・販売し、自らも中毒を起こした、銀行と証券を巡る古典的な問題です。物事の本質は不変であり、そして意外と単純です。レバレッジ=借金が本質です。借金をしてまでギャンブルをやってはいけません。借金でするギャンブルは「投資」とは言わないのです。
リスク管理の失敗という経営問題ではなく、自由化の弊害であり、国民経済を末曽有の危機に追いやった以上、規制強化は必至です。金持ちは利益を先取りし、ツケを国民に回されたのでは民主主義社会は維持できません。金融に限らず、無制約・無限定に競争できる時代は終わりました。
これまでに起きたこと、これから起きつつあることを発見し、未来を探し出すことが予測です。これから起こることは既に芽生えていますが、その影響はとても小さいのです。
重要なのは、すでに起こった未来を確認することなのです。
経営学者、ピーター・ドラッカー
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