2010/01/17

バブルによる生存

中国にとって2010年の政治的な大イベントは、3月の全人代、5月から始まる上海万博です。中国中央政府は2008年11月、景気対策として総額4兆元(約57.5兆円)の財政出動を決定し、金融機関が融資を緩和しました。

マスコミはリーマン・ショックを克服し、中国経済は絶好調、世界経済を牽引しているという報道です。しかし、好況だと物価が上昇するはずですが、インフレは起こっていません。そして、好況だと人手不足が起こるはずですが、大卒者の3割が就職できず、ワーキングプアとして仲間と同居する「蟻族」となる学歴デフレが発生しています。
2010年、中国が直面する三つの危機

中国の銀行は預金過剰、融資過少の金余りです。金は資産市場へまわり、住宅価格が高騰しています。実体経済の回復より先に、中国はバブル経済に突入しているのです。バブル無くして8%成長の維持はできません。バブル抑制策は国家的自殺となり、リスクを未来へ先送りするバブルによる生存です。3月の全人代の前には、「政府は人民のために投機を防止しています」という引き締め策が必要なのです。

現在は過去とは異なりますが、過去の積み重ねの上に成り立っています。学問で重要なのは文系・理系にかかわらず先例の研究です。文系は、意見・理論・学説の系譜等が研究課題の中心です。理系は、学説史自体の研究を学ぶことは稀です。不要ではなく研究の中に既に織り込まれているからです。歴史の先例が残してくれた事実には、現在の発見があります。

中国、株価指数先物・空売り・信用取引を原則承認=中国新聞社
2010年 01月 8日 20:01 JST [北京/上海 8日 ロイター]
海外華僑向け通信社の中国新聞社は8日、中国が株価指数先物、空売り、株式信用取引の導入を原則承認したと伝えた。これらはいずれも、投資家にヘッジ手段を与えるものとして長く待ち望まれてきた。中国国務院は2008年に改革を承認していたが、世界的な金融危機の影響で導入が先延ばしになっていた。中国新聞社によると、当初は試験ベースで実施され、導入準備に3カ月かかる可能性があるという。中国の株式市場は08年に65%下落した後、09年には80%上昇するなど変動の激しさで有名で、発展途上期にある証券取引所に高度なリスク管理手段のないことが大きな短所とされてきた。株価指数先物をはじめとするデリバティブ(金融派生商品)導入のため、中国では06年末に中国金融先物取引所が上海に設立されたが、世界的な金融混乱の広がりを受けて導入計画は先送りされていた。

日本は、1988年6月に、大証が日経平均株価オプションを上場し、10月には、東証がTOPIXを対象にオプション取引を開始しました。裁定取引を利用したソロモン・ブラザーズの仕掛けにより、1990年2月から始まった日本株式の大暴落はバブル崩壊を引き起こし、土地・株式等の資産喪失により1100兆円以上を消失しました。

バブル経済は必ず弾けます。その多くは、過去に先例を見い出せます。近くは米国の住宅バブル崩壊、遠くは オランダでのチューリップ・バブルです。物理過程にある日常経験の対象物はその構造も、その構成要素も不変であることによって、そのものとしての存在を維持しています。構成要素が変わる時は、その物理的存在ではなくなり、別の物理的存在になるか、より基本的物理的存在に還元されます。構成要素の変化は、過去と未来では決定的に異なります。江戸時代は、徳川幕府を頂点とする連合国家でした。明治維新は徳川政府から薩長政府に変わりましたが統一国家となりました。国家システムとしては、全く異なるのです。構造の変化です。

21世紀の世界大恐慌は通貨体制を破壊し、戦争は覇権国家を崩壊させます。我々は既に、恐慌経由、超インフレ行きの片道切符を手にしています。新しい経済システム(水素文明)を構築するプロセスを発信する『秋月便り』は、水素文明の乗車券となります。

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