2010/02/09

リーダーは状況に適合した行動スタイルを持つ

組織論で必ず登場する議論にリーダーシップ論があります。指導力や統率力などと訳されることが多いが、通常、組織全体あるいは組織内の部門のリーダーが発揮する機能、役割というふうに注釈が付けられたりしています。組織は志を達成するための内部体勢の構築です。役割分担として必要なのであり、構成員のためのものではありません。その目的を果たすために混乱が起きて当たり前なのです。組織を上手く機能させ、成果を上げる考え方と行動がマネジメントです。組織という一つの目的意識を持った集団のトップがリーダーならば、組織に変化をもたらすトップの必要性・重要性を追求していくのがリーダーシップ論です。それぞれの技法・手法によって各論は細分化され、融合していきます。

リーダーはさまざまな行動をとります。-将来の方向を定める。配下の部門や部下に指示を与える。教育をする。革新的なアイデアを普及・伝播させる。他の意見を聞く。目標を設定し、フォローする。仕事ぶりを評価し、報酬を与える。褒める。激励する。叱る。組織風土を醸成し、変革させる。危機の到来を予知する。イノベーションを企てる-これら行動のすべてがリーダーシップの発露です。リーダーシップの何たるかについては、組織論、企業行動論によって立つ経営学の枠組みができるはるか以前から、古今東西の賢人により、軍事用兵、哲学、歴史など様々な分野で論じられています。それにもかかわらず、優れたリーダーシップについては、普遍性のある明解な定義が得られていません。「君子危うきに近寄らず」というリーダーシップのとらえ方は、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」とするリーダーシップ論とたやすく矛盾してしまいます。また釈尊、キリスト、マホメットのごとく偉大な宗教者によって提示されたリーダーシップと、スターリンや毛沢東やヒットラーによって示されたリーダーシップは根本的に異質です。

さらに、リーダーシップは時代環境によっても影響されます。狩猟期において良きリーダーとは、獲物を狩るグループ活動を上手に調整する人でした。牧畜・農耕期に時代が移ると、野獣を家畜に、野生の穀物を農産物とすることを学んだ人がリーダーとなりました。農耕時代から工業化時代にかけて、富の生産様式が変わり、自身の生存に必要以上の富を造るようになると、専門化と同時に富の分配ルールづくりと管理に長けた人が優れたリーダーとなりました。どの時代においても、平時の生産機能集団と戦時の戦闘機能集団とでは、求めるリーダーシップは違っています。

このようにみてみると、適切なリーダーシップは、リードする集団の特質、集団を取り巻く文化、環境の性質などによっておのずと異り、その普遍的で厳密な定義はないといえます。環境や技術と組織との適合関係は、組織が不確実性にどのように対処するか、という視点から展開されるコンティンジェンシー理論から示唆を受けるものがあるとすれば、「リーダーの行動は状況に適合したスタイルでなければならない」ということに行きつきます。「ケース・バイ・ケース」という、非常に単純明快な命題です。とすると、「状況」が何なのか、が本質的に重要になります。

「適応」と「対応」は異なります。「対応」は「相手に応じて物事をすること」であり、「適応」は「生物が環境に応じて生理的・形態的な特質を変化させること」です。最も大きな相違点は、自らの意思の有無です。「対応」に意思は存在しませんが、「適応」は自らの意思による行為です。時代の変化に「適応」するためには、市場の要請が今どこにあるのか、中長期的な時間軸でウォッチし続けなければなりません。つまり、「適応」はマーケティングの基本といえます。

デフレ現象が続く日本では、漠然とした閉塞感が漂っています。この状況を打破するには、目標を共有することです。何でもいいから、全員が前向きに取り組める目標を作る。何も思い浮かばなければ、何人かで話し合えばいいのです。後は、明るい未来をイメージしてシミュレーションを行い、そのためのプロセスを設計し、目標を具現化していけばいいのです。リーダーのイメージは未来を支配し、行動の積み重ねが組織を変革させていきます。未来に対して前向きなイメージが持てたら、八割方は目標を実現できたも同然です。後は目標に向かって、がんばるだけです。

連山では毎月のイベントが企画されています。イベントは明るい未来への行動であり、メッセージを持っています。イベントへ参加することは、時代の変化に対する適応と生存可能性を高めることになるでしょう。
参考:想月 イベント十二連戦の戦略目標

0 件のコメント:

コメントを投稿